研究課題/領域番号 |
15590774
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
清野 精彦 日本医科大学, 医学部, 助教授 (10163073)
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研究分担者 |
福本 裕子 日本医科大学, 医学部, 助手 (80339423)
平井 幸彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (10089617)
島田 隆 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20125074)
高野 照夫 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40133441)
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キーワード | Fabry disease / adriamycin cardiomyopathy / cardiac hypertriphy / heart failure / Fas / Fas Ligand system / apoptosis / heart-type fatty acid binding protein / myocardial damage |
研究概要 |
1)Fabry病の病態生理学的特徴は、心血管系では心肥大、心筋細胞空胞変性、心機能障害(拡張能低下とこれに引き続く収縮障害)、刺激伝導系障害(房室ブロック、心室性不整脈出現)、全身的な血管内皮機能障害、および腎機能障害である。Fabry病治療(酵素補充療法さらに本研究の主旨である遺伝子酵素補充療法)の評価系を確立することを目的に、心肥大抑止、心機能障害・心筋傷害の防止を評価するあたり、実験的な評価法と評価項目を確立すべく、アドリアマイシン心筋症ラットモデルを作成して、心エコー、心筋生化学マーカー、病理組織学的な検討を加えた。この系における心筋障害抑止の治療手段として、probcolの抗酸化作用について対比検討した。心肥大、心機能障害の出現に応じて、僧帽弁流入波形ドプラー指標は拡張能障害の進行を示し、さらに左室駆出率の低下を示した。このとき、血中心筋troponin Tは上昇し、その測定値は組織学的障害スコアと相関関係を示した。また心肥大・心筋ストレスマーカーとして血中BNP、NT-proBNPの変化に注目して検討を進めている。 2)Fabry病症例の診断と治療評価でもっとも問題になる心筋傷害の機序に関連して、慢性心不全症例における潜在性心筋傷害の機序を、アポトーシスのシグナル因子である血中fas/fas ligandと心筋細胞質傷害の鋭敏なマーカーである心筋troponin T、脂肪酸結合蛋白(H-FABP)濃度、および心筋ストレスマーカーであるBNP、NT-proBNP濃度の関運性から分析した。心肥大例では、拡張能障害出現早期から、Troponin T,HFABP血中濃度が上昇し、心筋傷害発現の病態が示唆された。またこの潜在性心筋傷害にはfas/fas ligand系が関与している可能性を示唆する成績を得た。この所見は、Fabry病、特に心臓Fabry病の早期検出と早期治療の必要性を示唆するものと解釈される。
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