研究課題/領域番号 |
15590780
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
甲斐 久史 久留米大学, 医学部, 助教授 (60281531)
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研究分担者 |
新山 寛 久留米大学, 医学部, 助手 (30309778)
桑原 史隆 久留米大学, 医学部, 助手 (90279167)
今泉 勉 久留米大学, 医学部, 教授 (60148947)
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キーワード | 高血圧 / 炎症 / 線維化 / リモデリング / ケモカイン / 接着因子 / アンジオテニシンII / 拡張能障害 |
研究概要 |
本年度の目的は、血圧変動が高血圧による心肥大・心筋線維化・動脈硬化などの心筋・血管リモデリングその結果としての心機能障害を助長するのか、その機序として冠血管周囲における炎症機転活性化が関与しているか、炎症機転をブロックすることによって心筋・血管リモデリングを抑制し心機能障害を予防しうるのかを明らかとすることであった。 (1)モデル動物作成:8週令のWKYラットおよび自然発症高血圧ラット(SHR)にSADを施し血圧反射消失ラットを作成した。圧反射が消失していることは、術直後にフェニレフリン静注あるいは両側頸動脈クランプに対する血圧上昇に対する反応で確認した。 (2)血庄変動の評価:14週令(SAD6週間後)にテレメトリー送信機を埋め込み、無麻酔自由行動下での大動脈圧、脈拍数をモニターした。WKYラットおよびSHRともにSAD群において明らかな血圧変動が生じていたが、平均血圧には有意差はなかった。 (3)血圧変動が心血管リモデリング・炎症反応に及ぼす影響の検討:WKY+sham手術群・WKY+SAD群・SHR+sham手術群・SHR+SAD群にランダマイズ。8週令(術前)・12週令・24週令・36週令において以下の点を各群の検討中。 a.心エコー法にて左室拡張期内径・収縮能の指標(左室内径短縮率)・拡張能の指標(左室流入血流波形decerelation time(DT)およびE/A比)を経時的に測定。 b.組織学的検討:左室肥大の指標として左室重量/体重比、心筋リモデリングの指標として心筋細胞最大横径・心筋線維化率・冠血管中膜厚/内腔径比・血管周囲線維化面積をコンピュータ画像解析法により評価。 (4)圧負荷により引き起こされる心筋炎症機転・リモデリングの検討:WKYラットの腹部大動脈を縮窄した圧負荷肥大心モデルを作成。圧負荷直後にMCP-1,ICAM-1発現が亢進しマクロファージを主体とする炎症変化が生じること、この結果心筋反応性線維化が生じ拡張障害の原因となることを明らかとした。また、局所アンジオテンシン活性化が炎症機転のトリガーのひとつである事がわかった。
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