研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、血圧変動が高血圧による心肥大・心筋線維化・動脈硬化などの心筋・血管リモデリングその結果としての心機能障害を助長するのか、その機序として冠血管周囲における炎症機転活性化が関与しているか、炎症機転をブロックすることによって心筋・血管リモデリングを抑制し心機能障害を予防しうるのかを明らかとすることであった。(1)自然発症高血圧ラット(SHR)に両側圧受容体除神経術(SAD)を施して、平均血圧はSHRと変わらないが血圧変動が大きい血圧変動高血圧ラットモデルの開発に成功した。(2)血圧変動高血圧ラットと、SHRにsham手術を施した安定高血圧ラットにおいて、心肥大・心筋線維化面積・冠血管中膜肥厚・冠血管周囲線維化面積および炎症細胞浸潤・炎症性サイトカイン発現を評価し心・血管リモデリングを比較検討した。血圧変動高血圧ラットにおいて、MCP-1発現亢進・マクロファージ浸潤といった炎症反応が亢進しており、より高度な左室肥大、心筋線維化が見られた。(3)非降圧量のアンジオテニシンII受容体拮抗薬により、SADによるMCP-1発現亢進、マクロファージ浸潤、心肥大、心筋線維化が抑制された。(1)〜(3)につき、第69回日本循環器学会(平成17年3月19〜21日)にて発表し論文投稿中。(4)7ND : Fc遺伝子導入によるMCP-1機能阻害効果、TGFβII型受容体:Fc遺伝子導入による組織線維化を抑制効果を現在検討中である。(5)WKYラットの腹部大動脈を縮窄した圧負荷肥大心モデルを作成。圧負荷直後にMCP-1,ICAM-1発現が亢進しマクロファージを主体とする炎症性変化が生じること、この結果心筋反応性線維化が生じ拡張障害の原因となることを明らかとした。また、局所アンジオテンシン活性化が炎症機転のトリガーのひとつである事が明らかとなった。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (10件)
Hypertension 43(2)
ページ: 499-503
Hypertension 43(2 pt2)
Hypertension 43(4)
ページ: 739-745
J Am Coll Cardiol 44(3)
ページ: 661-666
Human Gene Ther 15(12)
ページ: 1270-1278
Arterioscl Thromb Vasc Biol 23
ページ: 588-593
Human Gene Ther 14(7)
ページ: 601-610
J Cardiovasc Pharmacol 42(suppl)
ページ: S43-S47
ページ: S61-S65
Circulation 108(10)
ページ: 1246-1252