研究課題/領域番号 |
15590787
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研究機関 | 国立循環器病センター研究所 |
研究代表者 |
秋山 剛 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室員 (70202554)
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研究分担者 |
山崎 登自 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室長 (20116122)
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キーワード | 高血圧ラット / 心臓交感神経終末 / マイクロダイアリシス法 / ノルエピネフリン分泌 / ノルエピネフリン再取り込み / ジハイドロキシフェニールグリコール / 星状神経節刺激 |
研究概要 |
本態性高血圧のモデルとして生後20週のSHRを、対照として生後20週のWKYを用い、心臓交感神経終末機能のうち、薬剤及び神経刺激によるNE分泌機能、およびNE再取り込み機能をSHRとWKYで比較検討した。麻酔下にて左開胸し、左室心筋にマイクロダイアリシスプローブを植え込み、一方よりリンゲル液を灌流し、他方より心筋透析液を採取した。透析液ノルエピネフリン(NE)、およびノルエピネフリンの神経終末内代謝物であるジハイドロキシフェニールグリコール(DHPG)濃度を心筋間質NEおよびDHPG濃度の指標として高速液体クロマトグラフィーにて測定した。 SHRとWKYで、心拍数に差はなかったが、平均血圧はSHRで有意に高かった。SHRの体重はWKYに比し低かったが、心重量はSHRで有意に重かった。血中NE濃度、および血中DHPG濃度はSHRで有意に高かった。 コントロール時における心筋間質NEはSHRとWKYで差がなかった。しかし、高カリウム局所投与による心筋間質NE応答はSHRで有意に低く、また星状神経節刺激に対する心筋間質NE応答も、高頻度刺激の際SHRでやや低かった。これらの結果から、血中NE濃度が上昇しているのとは反対に、SHRの心臓交感神経終末におけるNE分泌はむしろ障害されている可能性が考えられた。また、チラミンに対する心筋間質NE応答もSHRで有意に低く、今後さらに心臓交感神経終末におけるNE分泌機能の詳しい解析が必要と思われた。 コントロール時におけるDHPG濃度はSHRとWKYで差はなく、再取り込み阻害剤のデシピラミン局所投与に対する心筋間質NE上昇応答にも差はなく、SHRとWKYで心臓交感神経終末におけるNE再取り込み機能に差はないと考えられた。
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