研究課題
基盤研究(C)
腫瘍細胞から精製された熱ショック蛋白質gp96は、小胞体内に存在し腫瘍細胞内の抗原ペプチドを保持しており、このgp96-ペプチド複合体を免疫すると腫瘍あるいはペプチド特異的なT細胞免疫応答を誘導できることが知られている。そこで我々は、免疫応答のさらなる増強を目的として、あらかじめ腫瘍由来のgp96でパルスした樹状細胞(DC)の治療ワクチンとしての有効性をマウス肺癌(LLC ; Lewis Lung Cancer)にOVAを遺伝子導入したLLC-OVAモデルにおける治療的抗腫瘍効果を検討した。DCは骨髄細胞をGM-CSF下で5日間培養したものを用いた。1×10^5個のLLC-OVAをC57BL/6マウスの右側腹部に接種し、day3、7、10、14に左側腹部にLLC-OVAから抽出したgp96、DCまたはgp96でパルスしたDCをそれぞれ接種した。その結果、LLC-OVA由来gp96およびDCにより腫瘍の増大は軽度に抑制されたが、LLC-OVA由来のgp96でパルスしたDCではさらに腫瘍の増大が抑制された。一方で抗腫瘍効果がペプチドを介して誘導されているかを確認するために、LLC-OVA由来gp96をパルスしたDCとOT-1細胞を共培養し、IFN-γの放出を検討したが、OVAに特異的な反応は確認できなかった。しかし、LLC-OVA由来のgp96でパルスしたDCによる治療後のリンパ節中にはOVA特異的CD8陽性細胞が多く認められ、OVA特異的なCTLが増加したことを確認できたが、その差はわずかなものであった。さらに、gp96のDCへの取り込みを共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討したところ、DCに取り込まれたgp96はエンドソームへ移行して保持するペプチドをMHC class I分子に受け渡している可能性が示唆された。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (9件)
Cancer Sci 95
ページ: 260-265
Clin Cancer Res 10
ページ: 5094-5100
Chest 126
ページ: 1195-1197
Hum Gene Ther 14
ページ: 715-728
Cancer Sci 94
ページ: 1003-1009
Human Gene Therapy, Hum Gene Ther 14