研究概要 |
気管支喘息は気道を場とした慢性アレルギー性炎症であり、その病態形成にはTh2細胞が産生するIL-4,IL-5,IL-13などのサイトカインが重要な役割を果している。IL-4とIL-13は、Th2細胞分化、IgE産生、血管内皮細胞上の接着分子の発現及び杯細胞の分化に必須であり、IL-5は、好酸球の分化及び活性化に必須である。 一方、近年、新たなTh2細胞性サイトカインとしてIL-17ファミリーに属するIL-25が報告された。IL-25は、IL-17と約20%の相同性を有する活性化Th2細胞により産生される新規サイトカインであるが、その生物活性はIL-17とは異なり、IL-25をマウスに投与するとIL-4,IL-5,IL-13等のTh2サイトカインが産生され、その結果、IgE産生や好酸球増多が惹起されることが示された。我々は、本研究で、アレルギー性炎症におけるIL-25の役割を解析し、1)Th2細胞に加えて、アレルギー性炎症の重要なエフェクター細胞である肥満細胞もIgE刺激によりTh2細胞と同等にIL-25を産生すること、2)IgE刺激による肥満細胞からのIL-25の産生は、サイクロスポリンAにより強く抑制されること、3)肥満細胞におけるIL-25の発現誘導は、IL-25遺伝子の-513〜-222の領域が重要な役割を果たすこと、4)マウス喘息モデルの気道では、抗原暴露によりIL-25の発現が認められること、5)気道にIL-25を発現させるとアレルギー性気道炎症が著明に増悪することを見出した。本研究成果は、アレルギー性気道炎症の惹起にIL-25が重要な役割を果たしていることを明らかにするのみでなく、気管支喘息の新規治療ターゲットとしてIL-25が有望である可能性を示唆している。
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