研究概要 |
近年,細胞増殖誘導と増殖停止の細胞分子機構が明らかになりつつあり,癌化過程の解明が進んでいる。しかしながら炎症の進展・遷延・治癒についての機序を,線維芽細胞における細胞周期制御因子の立場から検討したものは少ない。RB遺伝子とp53は代表的な癌抑制遺伝子であり,RB-pathwayとp53-pathwayは密接な関係をもち,細胞周期制御のシグナルはこれら2つの経路に集約されると考えられる。よって検討事項として,pRBとp53の発現,RBとp53の分解に関連するMDM2の発現の検討をおこなった。 検体の準備および細胞周期制御機構のRB-pathwayに異常が観察されるか。 1)各種肺疾患からの線維芽細胞の準備 video-assisted thoracic surgeryにて得られた肺組織を1mm3に細切後,PBSにて洗浄,35mmプラスティックシャーレ上にて10%FBS添加Dulbecco's modified Eagle's mediumとともに培養する。 4-6週後にconfluentになったら0.25%trypsin/1mM EDTAにて回収する。75cm2 flaskで再び培養し,3-11 X population doubling levelにて実験に供する。一部は凍結保存する。 2)Western blottingによるpRB,MDM2の発現量の検討 1 X 10^6細胞をRIPA bufferにて可溶化し,pRBに対しては3H9(Novocastra Laboratories),MDM2に対してはSMP14(Santa Cruz Biotechnology)を使用する.対照から得られた線維芽細胞と特発性肺線維症からのものと比較検討した結果,両者における発現量に差をみとめた。
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