閉塞性細気管支炎は、病理学的には細気管支周囲の線維化や瘢痕化による細気管支内腔が狭小化や閉塞をきたす病態として知られているが、その病因は不明であり、有効な治療法もない。近年、骨髄移植や心肺移植患者での閉塞性細気管支炎の合併が報告され、リンパ球、マクロファージをはじめとする免疫担当細胞の関与が推測されている。特に、自己抗原や移植片に反応し活性化された肺胞マクロファージとリンパ球応答が、細気管支の炎症の惹起と線維化において重要な役割を果すことが考えられる。本研究では、細胞傷害性T細胞をはじめとする細胞性免疫の誘導にきわめて重要な分子であることが知られているCD40分子を欠損したマウス(CD40遺伝子欠損マウス)を用いた閉塞性細気管支炎ならびに肺障害発症メカニズムについて検討した。その結果、LPSレセプター、TLR4分子からのシグナル伝達の下流でCD40分子の細胞内ドメインが重要な役割を果たす可能性を報告してきている。本年度は、閉塞性細気管支炎の動物モデルとして、Sauropus Androgynus (SA)に閉塞性細気管支炎の動物モデル作成に着手した。SA摂取による台湾での集団発生に引き続き、本年の日本での発生が報告されたが、薬剤性肺障害としての閉塞性細気管支炎はほとんど報告がなく、SA摂取による動物モデルは病態解明に有用であると考えられた。そこで、C57BL/6ならびにBALB/cを対象に、SA経口摂取による実験を開始した。免疫学的炎症の関わりを想定して、実験をすすめている。次年度は、本動物モデルの確立と病態解析を予定している。今後の閉塞性細気管支炎での病態解析と制御に重要な知見を与えるものと考えられる。
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