平成15年度の研究として、まず呼気凝集法の改良を行った。従来Jaeger社EcoScreenにより呼気凝集液を採取していたが、移動が難しく、ベッドサイドにて行うことができなかったために、携帯できる器具の作成を行った。ポリプロピレンチューブ・一方弁および熱伝導を考慮してアルミニウムのチューブを接続し、アルミニウム部をドライアイスにて冷却する方法の呼気凝集液収集用の器具を作成した。この器具による凝集液の採集はEcoScreenを用いた場合とほぼ同様であり、10分間の採取により1-3mlの呼気凝集液を採取することができた。同器具を用いて健常者10名および肺癌患者20名に対してインフォームドコンセントを得たうえで、呼気凝集液を採取した。呼気凝集液の採取は容易で、患者への侵襲はなかった。ついで、凝集液中のサイトカインとしてIL-6、TGFβ、腫瘍マーカーとしてCEA、CYFRA、SCCおよび脂溶性のPGE_2の測定を行った。文献的検討によれば高分子量の物質の測定が可能であったとの報告が見られたが、サイトカイン・腫瘍マーカーはいずれも測定限度以下であった。またPGE2ほとんどの症例において測定限度以下で、本方法により安定して測定することはできないと考えられた。 平成15年度の結果に基づき次年度の計画としてはガスおよび揮発性物質の測定を行う予定である。対象としては、健常者および肺癌で放射線治療中の患者の呼気凝集液を採取し、測定する指標としてはNitric oxideおよびHydrogen Peroxideなどを測定する予定である。
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