研究課題/領域番号 |
15590816
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤井 毅 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60346971)
|
研究分担者 |
迎 寛 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80253821)
|
キーワード | HSP47 / 突発性肺線維症 / ブレオマイシン肺臓炎 / コラーゲン / 肺線維芽細胞 / 気道上皮細胞 / アンチセンス療法 |
研究概要 |
特発性肺線維症に対する有効な治療法が確立していない現在、本疾患の病態形成理解とともに、新たな治療戦略の早急な開発が望まれている。様々な疾患の病因となる蛋白合成を遺伝子レベルで抑制しようとする方法であるアンチセンス療法に関する研究は、現在非常に盛んであり、我々もすでに硬化性腹膜炎モデルラットに対するHSP47アンチセンスオリゴヌクレオチド腹腔内投与によって、腹膜の線維化が有意に抑制されることを証明している。本研究において、まず、マウスを用いたin vivoでの検討をおこなった。 ICRマウスにブレオマイシン(BLM)10mg/kg/dayを5日間連続尾静脈投与し、肺線維症モデルを作成した。BLM投与の2、5、7週後に各群の線維化の程度を組織学的、生化学的に評価した。HSP 47、α-SMAの免疫染色を行ない、それぞれの発現程度を半定量した。BLM投与群では線維化の進展とともにHSP47陽性細胞数は増加していった。これらの細胞はSurfactant protein A(SP-A)陽性のII型肺胞上皮細胞、α-SMA陽性の筋線維芽細胞であった。これまで、肺線維症の進展過程において、筋線維芽細胞が主要なコラーゲン産生細胞と考えられていた。今回我々は、II型肺胞上皮細胞におけるHSP47の発現を明らかにした。これは、II型肺胞上皮細胞もHSP47産生を通してコラーゲン産生能を獲得し、肺線維化進展に重要な役割を果たしている可能性を示唆するものと考えられた。今後、当初の目標であるHSP47アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたHSP47の発現と肺の線維化進展に対する治療効果の検討を行う予定である。
|