研究課題/領域番号 |
15590821
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
木村 弘 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20195374)
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研究分担者 |
吉川 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80271203)
福岡 篤彦 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (10336852)
玉置 伸二 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (30347546)
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キーワード | 低酸素 / 粥状硬化症 / 睡眠 / 無呼吸 / 細胞外マトリックス / サイトカイン / アディポネクチン |
研究概要 |
OSAS群(AHI30以上は重症群、30未満は軽中等症群)と健常対照群の総計46例を対象として、粥状硬化病変の発症増悪因子としての睡眠時低酸素血症の関与について検討した。 検討1:PSG施行後の翌朝6時にヘパリン加採血を行い、検体採取後直ちにプラスチック付着法で単球を分離し、細胞数を2.5×10^6/mlに調整後、LPS 10μg/mlの刺激下で24時問培養し、培養上清中のTNF-α、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9、MCP-1濃度をELISA法で測定した。またCPAP治療を3ヶ月後の重症群10例に対し、再度、同様の検討を行った。結果:重症群の早朝治療前のTNF-α産生能は、健常群に比べ有意に高値であった。またOSAS群全体の早朝治療前のMMP-9産生能は、健常群に比べ有意に高値であった。さらに重症群での早朝治療前のMCP-1産生能は、健常群に比べ有意に高値であった。また長期間CPAP治療を行った10例では、TNF-α、MMP-9、MCP-1産生能がすべて有意に低下していた。検討2:PSG施行後の早朝空腹時に採血し血清adiponectin (ADPN)をELISA法で測定した。また長期間CPAP治療を行つた10例では、再度、同様に血清ADPN濃度を測定した。OSAS患者と健常対照群間でBMIは有意差を認めなかった。結果:OSAS患者の血清ADPNはBMIをマッチさせた健常群よりも有意に低値であった。また、長期間CPAP治療を行った10例においては、体重が不変であるにもかかわらず血清ADPNは有意上昇していた。とりわけ、治療前血清ADPNが4μg/ml以下の低ADPN血症群においてはその上昇は顕著であった。 考察:OSASでは低酸素・再潅流ストレスにより、単球からのMMPsやTNF-α、MCP-1の産生亢進が認められた。MMPs産生能の亢進は、OSAS患者の動脈硬化性病変の形成に関与する可能性が示唆された。さらに脂肪細胞からのアディポサイトカインの分泌動態の変化は接着分子と関連して粥状硬化病変の形成に関与すると考えられた。また長期間のCPAP治療にてMMPsやADPNが正常化することより、CPAP治療の有用性が示唆された。
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