研究概要 |
マウス骨髄血付着細胞をKottonらの報告^<1)>に従って分離することを試みたが、7日間培養細胞において形態学的に間葉系幹細胞の特定が困難であった。抗Tla抗体を使ってII型肺胞上皮細胞(AEPII)の染色を試みるも、non specificな染色像で、characterizationは困難であった。そこで、本研究の作業仮説である「幹細胞がAEPIIに分化することによって、肺線維化で障害された肺胞上皮を補填し、ひいては肺組織再生に導く」について再検討し研究実施計画を練り直した結果、2つの命題すなわち、(a)幹細胞がAEPIIに分化するか否か、(b)AEPII移入は肺組織再生を促すか否か、を検証することにして、まず(b)から着手することにした。green fluorescent protein (GFP) transgenic mouseから、Corti Mらの方法^<2)>に従って細胞を分離し、surfactant B陽性、Tla陽性でAEPIIであることが確認された。この細胞をwild type mouseに気管内注入し、肺切片を共焦点レーザー顕微鏡で検鏡したところ肺胞領域にGFP陽性AEPIIを認めたが、肺胞腔内に単に浮遊しているのか、肺胞上皮として生着しているのかの証明には更に詳細な組織学的検討が必要である。さらに、ブレオマイシン肺線維化モデルに、このGFP陽性AEPIIを気管内注入し、移入細胞の経時的なtracingと線維性炎症に対する効果を検討する予定である。(a)に対しては、GFP transgenic mouseの骨髄全血をwild typeとブレオマイシン肺線維化マウスに移入し、同様に組織学的に比較検討する予定である。 1)Kotton DN, et al. Development.2001;128:5181-8. 2)Corti M, et al. AJRCMB,1996;14:309-15.
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