研究概要 |
気管支喘息気道の病理形態学的変化の特徴として、気道粘液細胞の過形成ならびに過剰分泌があり、病態の慢性化、重症化の要因のひとつとして考えられる。近年新規CIチャネル,HCLCA1が、IL-9と関連において、発現が増強し、気道におけるムチン産生とも関連していることが示された。そこで前年度は喘息患者の気道において、HCLCA1は、MBP、CD3、IL-9、IL-9Rとともに、健常人ならび、慢性気管支炎やサルコイドーシス患者と比較しても、顕著に発現が亢進した。HCLCA1mRNA発現は、粘液分泌細胞ならびにIL-9R発現部位と併存し、HCLCA1mRNAの発現は、IL-9陽性、あるいはIL-9R陽性細胞数との高い相関を認め、喘息患者の気道における、IL-9関連粘液分泌へのHCLCA1関与の示唆がえられた。 今年度はさらに、喘息病態と同CIチャネルとの関連をさらに確定するため、動物モデルおよび培養上皮細胞系において、HCLCA1の機能解析を行った。 BALB/cマウスを卵白アルブミン(OVA)で腹腔感作し、その後1%OVAにて反復吸入暴露により慢性喘息モデルを作成する。同モデルにおける気道・肺組織中、HCLCA1のマウスhomologueである、mCLCA3(gob-5)mRNAを、nonRI-ISH法による検出および組織病理形態学的評価ともに比較検討をおこなった。RNA-probeは、primerを合成、マウス肺組織whole-RNAより抽出、oligo-nucleotideからRT-PCRにより作成した。感作マウスにおいて、気道上皮下線維化、平滑筋過増生とともに、ムチン産生上皮の過形成に平行して、mCLCA3 mRNAの発現亢進と同時に、また気道反応性の亢進も認められた。よって、mCLCA3と、気道上皮粘液分泌細胞の過形成、分泌過剰他の気道リモデリング、さらに気道反応性亢進など喘息表現型との関連が示唆された。
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