気管支喘息における主要病態のひとつである気道内の粘液腺肥大・過形成に伴う分泌過剰は、重症化との関連も示唆されており、発病機序解明および治療標的の重要な鍵と考えられる。これまでに気管支喘息患者の気道粘膜における過剰分泌と関連してクロライドチャネル、hCLCA1の発現亢進していることを報告し、同分子の喘息気道粘膜における分泌異常病態との関わりが示唆された。さらにアレルギー性気道炎症との関連を確認するため、抗原感作動物を用いて、hCLCA1の相同分子mRNAの発現を確認した。 [目的]感作マウスにける気道粘膜粘液細胞過形成、分泌過剰とhCLCA1相同分子mCLCA3の発現との関連を検討する。 [方法]BALB/c雄マウスに、卵白アルブミン(OVA)腹腔感作を行い、一回OVA吸入暴露、7日間連日吸入暴露、および21日間連日暴露を行い、気管、気管支・肺組織を摘出、4%パラフォルムアルデヒド固定、10μm切片標本を作製した。好酸球検出のためにギムザ染色、粘液染色のためにPAS/AB染色、さらにタイラミド増感法による、mCLCA3 mRNAのDIG標識cRNAプローブを用いたin situ hybridizationを行った。 [結果]気道好酸球浸潤、気道粘膜粘液細胞は1回感作でも出現するが、有意な増加は7日感作以降であった(p<0.05)。同様にmCLCA3 mRNA発現も7日感作以降で有意な発現亢進が認められた(p<0.05)。またmCLCA3 mRNA陽性細胞数と粘液スコアとの間に有意な相関が認められた(p<0.05)。 [結論]感作動物では、粘液過剰分泌およびmCLCA3の発現過剰が認められ、アレルギー性気道炎症病態における気道粘液過剰分泌病態へのmCLCA3の強い関与が示唆された。
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