研究課題
基盤研究(C)
本研究では日本人を対象に標的酵素Topoisomerase I(TOP 1)のirinotecan(OPT-11)耐性となりうる遺伝子多型の頻度、Carboxylesterase 1と2(CES 1&2)の遺伝子多型の頻度、UDP-glucuronosyltransferase 1A1(UGT1A1)の遺伝子多型の頻度を調べ、さらに、肺癌組織でのTOP IのCPT-11に耐性となりうる遺伝子変異の頻度を調べ、癌治療のテーラーメード治療に役立てることを目的とした。本研究により、CPT-11の代謝と薬効に関連する酵素の日本人における遺伝子変異について以下のことが分かった。1)TOP1は一般人でも未治療の肺癌組織でも、ともに耐性に関連するエクソン部分の遺伝子変異はなかった。2)腫瘍細胞内でCPT-11をSN38に代謝するCES 2のエクソン部分を網羅的に解析したところ、126検体中2検体で変異型ヘテロが認められたが、共にヘテロであり、薬理学的な意義は少ないものと考えられた。3)肝臓での代謝に関連するCES1には多くの遺伝子多型が存在することが明らかとなった。変異頻度の高い肝臓のCES 1の多型による代謝活性の違いはCPT-11の肝障害や消化管障害などの副作用発現の個人差に関与している可能性が高いと考えられた。4)SN38をグルクロン抱合して可溶性とするUGT1A1の酵素発現を低下させるUGT1A1*28の変異型ホモの頻度は本研究の結果では2%と低かった。諸家の研究での報告も参考にして人種間の比較をすると、インド人を除くアジア系の人種ではUGT1A1*28の変異型ホモの頻度は少なく、この酵素の変異による酵素活性の低下が基で好中球減少などの副作用が発現する頻度は欧米・インド・アフリカ系の人種に較べて、少ないと推察された。
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Kitasato Med J 35(In press)
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