研究課題/領域番号 |
15590830
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
赤柴 恒人 日本大学, 医学部, 助教授 (90142512)
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研究分担者 |
赤星 俊樹 日本大学, 医学部, 助手 (20409022)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 / nasal CPAP / 高感度CRP / 脳性ナトリウム利尿ペプチド / 心血管障害 / 生活の質(QOL) / Short-Form 36 / Self-rating Depression Scale |
研究概要 |
重症の閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)例に対し、nasal CPAP (NCPAP)療法を行い、その長期的な臨床効果について検討した。 1)OSAS例における高感度CRP (h-CRP)に対するNCPAPの効果 OSAS患者の心血管障害発症に関するhCRPの役割を検討し、NCPAPのhCRPに対する影響を検討した、96例のOSAS患者のhCRPを測定し、その後9か月間のNCPAP治療を行ってhCRPの変化を検討した。治療前のhCRPは平均1824μg/dlで、OSASの重症度とは関連せず、body mass index (BMI)とのみ有意に相関した。また、NCPAP治療後にhCRPは有意な変化を認めなかったことから、hCRPは、OSASより、むしろ肥満に関連すると考えられた。 2)OSAS例における、脳性ナトリウム利尿ペプチヂ(BNP)値とそれに及ぼすNCPAPの効果 血清BNP値は心不全のマーカーとして循環器領域では繁用されているが、OSAS例での検討は少ない。そこで、52例のOSASを対象として、BNP値を測定した後、約6か月のNCPAP治療を行いその変化を検討した。治療前のBNP値は大多数で正常範囲内であり、睡眠時の無呼吸、低酸素血症とは関連を認めなかった。また、NCPAP治療後にも有意な変化を認めなかった。これらの結果から、OSAS例では明らかな心不全は惹起され難く、NCPAPも大きな影響を与えないと考えられた。 3)NCPAP治療がOSAS患者のQOL、精神神経機能に及ぼす臨床的効果 重症なOSAS患者では、睡眠障害により、日中に鬱などの精神神経症状が出現し、生活の質(QOL)が低下することが報告されているが、これらに対するNCPAPの有効性を検証した。132例のOSASと38例の健常コントロールを対象に、Sort-Form 36(SF-36)でQOLを、Self-rating Depression Scale (SDS)で鬱状態、Epworth Sleepiness Scale (ESS)で日中の眠気の評価を行い、NCPAP治療前後でのこれらの変化を検討した。治療前のOSAS群は、健常者に比し、SF-36、SDS、ESSとも有意に障害されていた。しかし、NCPAP治療8週後では、全ての指標とも有意に改善していた。これらの結果から、無治療のOSAS患者のQOLや精神神経機能は明らかに障害されているが、NCPAPにより、健常者と同等にまで回復すると考えられた。
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