• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2004 年度 実績報告書

糸球体疾患伸展におけるメサンギウム細胞の接着因子関連シグナル伝達経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15590839
研究機関東北大学

研究代表者

大高 徹也  東北大学, 医学部, 教授 (70271921)

研究分担者 佐藤 博  東北大学, 病院・講師 (60215829)
中山 謙二  東北大学, 病院・助手 (90344671)
キーワード膜性増殖性糸球体腎炎 / IgA腎症 / インテグリン / シグナル伝達蛋白
研究概要

膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)およびIgA腎症(IgAN)などの増殖性糸球体腎炎は、メサンギウム細胞の増殖を主要な変化とする糸球体腎炎であり、慢性の経過で徐々に糸球体硬化が進行する。今年度は、これら糸球体腎炎におけるintegrin発現の細胞内シグナル伝達系への関与を検討した。この目的で、MPGN、IgAN生検標本それぞれ9例、正常コントロール(CTRL)4例を対象に、以下の各種蛋白を免疫組織学的に検討した。(1)ECM:I,IV,VI型collagen(CL I,IV,VI),laminin(LM),fibronectin(FN),vitronectin(VN)。(2)各種integrin:β1,β3,α1,α3,αVの各種integrin。(3)integrin関連シグナル伝達蛋白:focal adhesion kinase(FAK),Src2,p-cSrc,Raf1,Rac1,RhoA,Akt1,PI3K。結果は、以下の通りであった。
1.MPGN:(1)ECM沈着:メサンギウムではCL(IV),FN、GBMではCL(VI),FNの沈着増強が見られた。(2)integrin発現:メサンギウムではβ1,α3、足細胞ではα1,α3、GBMではβ1,α1,α3それぞれの発現が認められた。(3)シグナル伝達蛋白発現:メサンギウムではFAK,RhoA,Akt1が、足細胞ではRhoA,Akt1がわずかに、PI3Kは高度に、GBMではSac2,FAK,RhoA,Akt1がそれぞれ発現していた。2.IgAN:(1)糸球体におけるECM沈着:メサンギウムではCL(IV),VNが沈着し、FNは高度に沈着していた。GBMではCL(IV),FN,VNそれぞれの沈着を認めた。(2)integrin発現:メサンギウムではβ1,α3、足細胞ではβ1,α1,α3,αVそれぞれの発現が認められた。GBMではα1,αVがわずかに、β1が高度に発現していた。(3)シグナル伝達系蛋白の発現:メサンギウムではFAK,RhoA,Akt1が、足細胞ではRhoA,Akt1.が、GBMではFAK,RhoA,AKt1,PI3Kが発現していた。
以上の結果より、1.MPGN,IgANのいずれにおいても、メサンギウムにおけるCL(IV)、FN沈着増強に伴い、α1/β1,α3/β1 integrinの発現増強が見られ、相互作用の存在が示唆されたが、シグナル伝達系蛋白はFAK,AKT-1,Rho-Aのわずかな増強が認められるのみで、その他、integrin発現増強が細胞内シグナル伝達系に影響を示す所見は見られなかった。2.MPGNでは、GBMにおいて、CL(IV),FNの沈着増強に伴い、α1/β1,α3/β1の各integrin発現増強が認められたのと同時に、GBMのFAK、足細胞のFAK,PI3Kの発現が認められ、MPGNにおいてはむしろ足細胞において細胞内シグナル伝達系が大きく変化している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Differential roles of beta2 integrins in human crescentic glomerulonephritis2005

    • 著者名/発表者名
      Ootaka T., Sato H., Sato T., Ito S., Saito T.
    • 雑誌名

      東北大学医学部保健学科紀要 第14巻・第1号

      ページ: 1-12

  • [雑誌論文] 治療戦略:腎硬化におけるインテグリン関連シグナル伝達路の役割について2004

    • 著者名/発表者名
      大高 徹也
    • 雑誌名

      日本腎臓学会誌 第46巻・3号

      ページ: 159

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi