研究課題/領域番号 |
15590847
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
山本 龍夫 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30200819)
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研究分担者 |
北川 雅敏 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50294971)
藤垣 嘉秀 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20283351)
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キーワード | ユビキチン / Smad / TGF-β / Smurf / 腎硬化 / 細胞内信号伝達 |
研究概要 |
GF-βの細胞内信号伝達因子Smadのレベルとそのユビキチン・プロテアソーム分解を検討した。昨年度までの当研究において、我々は以下の1-4の知見を得た。 1.メサンギウム増殖性糸球体腎炎のモデルであるATS腎炎の糸球体と進行性の間質線維化をきたすUUO腎においてSmad2蛋白の著明な減少が認められた。一方、Smad2のmRNA発現は前者では不変、後者では増加しており、Smad2蛋白の特異的分解による調節機構の存在が考えられた。 2.ATS腎炎糸球体およびUUO腎で内因性Smad2蛋白の分解亢進とSmad2蛋白に対するユビキチン活性の亢進が認められ、それはproteasome inhibitorで抑制された。 3.ラットでSmad2ユビキチンリガーゼであるSmurf2のcDNAをクローニングした。 4.ATS腎炎糸球体およびUUO腎でSmurf2のmRNA発現と蛋白の増加が確認された。 そこで、進行性の間質線維化をきたすUUO腎でTGF-β・Smad信号伝達抑制性のSmad7についても検討した結果、 5.UUO腎においてSmad7蛋白の減少とmRNAの増加、Smad7蛋白のユビキチン化と分解の亢進が認められ、それはproteasome inhibitorで抑制された。 以上より、TGF-βとTGF-βレセプターの発現が亢進し、TGF-βの細胞内信号伝達が盛んなATS腎炎糸球体やUUO腎では、Smad2のユビキチン化を介する分解制御の結果、Smad3を介するTGF-β信号伝達がmad2を介する信号よりも優位となっていること、さらにUUO腎では、TGF-β・Smad信号伝達抑制性のSmad7のユビキチン・プロテアソーム分解による減少が、TGF-β・Smad信号伝達の抑制がかかりにくい状況を生じ、それが進行性の尿細管間質線維化に関与するという新たな機序が明らかとなった。
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