研究課題
基盤研究(C)
ラットにおける酢酸ウラニウム誘発急性尿細管傷害モデルで出現する初期再生細胞を幹細胞との関連において検討し以下の知見を得た。1.初期再生尿細管上皮細胞は、酢酸ウラニウム量の変化による近位尿細管S3セグメント傷害の程度によらず、成熟近位尿細管細胞が脱分化したものであり、局所修復に関与すると考えられた。2.初期再生細胞は[^3H]-thymidine標識保持細胞であり、特にS3遠位端領域の細胞群は広範なS3傷害後の再生を担った後も標識保持細胞として約6週後まで同定された。3.S3遠位端の細胞群は高度な増殖能を有し、かつ娘細胞を産生し近位尿細管細胞形質への分化・成熟能を有しS3セグメント全体の修復を担った。4.5-fluorouracil(FU)投与により増殖細胞(娘細胞)は死滅したが、S3遠位端の初期再生細胞群は同部に残存し5-FU抵抗性を示し中止後には再び増殖・分化・成熟しS3の修復に関与した。以上より、S3遠位領域の細胞群は平常時にslow cyclingで、高度な増殖能、娘細胞の産生、5-FU抵抗性を有することが示され、広範なS3セグメントの傷害時にS3セグメント全域の修復を担う幹/前駆細胞である可能性が示唆された。これら細胞群は近位尿細管とヘンレの細い下降脚の移行部に存在し、同部が微小環境(niche)である可能性がある。これらS3遠位領域細胞の幹細胞特性からのさらなる検討は、新たな急性腎不全の治療開発に貢献するものと思われる。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (8件)
Virchows Arch 446・2
ページ: 164-176
Virchows Arch 446(2)
Virchows Arch 444・4
ページ: 362-734
Toxicol Appl Pharmacol 200・2
ページ: 111-120
Virchows Arch 444(4)
Toxicol Appl Pharmacol 200(2)
Nephron Exp Nephrol 94・4
ページ: 144-151
Nephron Exp Nephrol 95(4)
ページ: e144-e151