研究課題
基盤研究(C)
本研究においては、ミドカインを標的とした治療の臨床応用への可能性をさらに詳細に検討するため、以下の3点を目的に研究を進めた。(1)進行性の腎障害における抗ミッドカイン療法の臨床応用の可能性について検討するため、虚血再灌流モデル、STZ投与による糖尿病性腎症モデルやシスプラチン腎症におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果についてin vivoの系で明らかにする。(2)既にミドカインによる発現誘導が確認されているMCP-1及びMIP2(IL-8)の発現について、受容体(LRP, Megalin)を介する細胞内情報伝達機構を、培養メサンギウム細胞及び近位尿細管細胞を用いて明らかにする。(3)ミドカイン刺激により発現増強・減弱がみられる遺伝子群のprofileについてDNAアレイを用いて同定する。この結果、虚血再灌流モデルやシスプラチン腎症による尿細管間質障害では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの静注により、近位尿細管でのミドカインの機能や発現を抑制することにより、腎障害の進行を有意に阻止できた。一方、糖尿病性腎症モデルではミドカイン依存性に糸球体の硬化が進行することが確認された。また、ミドカインは分泌型蛋白であり、顕性糖尿病性腎症の患者の尿中ミドカイン濃度が、糸球体及び尿細管障害の程度を予測する良い指標となる可能性が予想される。さらに、メサンギウム細胞及び尿細管上皮細胞を用いてミッドカインを介するサイトカイン・ケモカインネットワークさらにLRPやMegalinを介したミドカインの情報伝達系の解明により、ミドカインを標的とした新たな治療法の開発につながるものと期待される。
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Kidney International (In press)
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