研究概要 |
V1a受容体はV2受容体の調節を司っているというのが,我々の仮説であるが,相関関係の一つのV1a,V2受容体の転写活性への相互作用については、V1a受容体が存在することで,V2受容体のプロモーター活性が低下することを確認した。現在,濃度依存性やV1a,V2受容体拮抗薬存在下での活性抑制作用を検討することで,詳細な機構について検討中である。 V1a受容体は、腎集合尿細管の管腔側にあり,V2受容体を抑制しているというのが我々の仮説であるが,国立成育医療センターの田上先生,京都大学薬学部の辻本先生との共同研究で,V1aノックアウトマウスを入手し,V1a受容体が欠損しているマウスでは,尿の過度の濃縮がみられ,尿の浸透圧が2000kgH_2Oを上回ることを確認しており,現在,ヘンレの太い上行脚,集合尿細管における,その詳細な仕組みについて,検討中である。これにより,V1a受容体の尿濃縮における役割が明らかになることが期待される。 一方、ラットの代謝性アシドーシスでは、尿浸透圧の低下に伴い、尿中へのAQP2の排泄も大きく減少したが、集合尿細管におけるAQP2 mRNAおよび蛋白発現は増加しており、AQP2の細胞内から管腔側膜へのtraffickingの異常が、代謝性アシドーシスにおいて存在する可能性が強く示唆された。このことは、代謝性アシドーシスにおける、酸排泄障害に尿中AQP2排泄減少が関与している可能性があり、水チャネルの新たな機能を示唆しているかも知れない。このことを,V1aノックアウトマウスでも検討し,V1a受容体の役割のみならず,AQP2の働きについても,新しい知見が得られることが期待される。
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