研究課題/領域番号 |
15590855
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
吉川 徳茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10158412)
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研究分担者 |
鈴木 啓之 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80196865)
中西 浩一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50336880)
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キーワード | ベロ毒素産生 / 腸管出血性大腸菌 / 溶血性尿毒症症候群 |
研究概要 |
【背景】ベロ毒素産生大腸菌による溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症、進行機序は、現在不明である。しかし、これまでの国内外からの報告は、tumor necrosis factor(TNF)-α、Inteleukinn(IL)-1βがHUSの発症、進行に重要な役割をしていることを強く示唆している。HUS急性期の患児の尿中TNF-α排泄は増加していることが報告されている。最近、TNF-αプロモーター遺伝子多型と血中TNF-α濃度、IL-1β遺伝子多型と血中IL-1β濃度が関連していることが明らかにされた。血中TNF-α濃度の高いTNF-αプロモーター遺伝子多型を有する患者、血中IL-1β濃度の高いIL-1β遺伝子多型を有する患者は、ベロ毒素産生型大腸菌感染に際して、HUSを発症しやすく、重症化しやすいと考えられる。 【目的】ベロ毒素産生型腸管出血性大腸菌(血清型O157:H7)感染によるHUSの発症、進行における(1)TNF-αプロモーター(G-308A) (2)TNF-β(Intron 1) (3)IL-1β(exon 5) (4)IL-1 receptor(Re)プロモーター(exon 1B) (5)IL-1 receptor antagonist(RA) (Intron 2)遺伝子多型の役割を明らかにする。 【対象】ベロ毒素産生大腸菌によるHUS症例63例、及び85名の健常成人を対照とした。 【方法】末梢血白血球DNAを抽出、PCR-RFLP(1)〜(4)あるいはPCR-VNTR(5)法にて遺伝子多型を検索し、HUSとの関係を検討した。 【結果】(1)〜(5)のいずれにおいても、HUSと正常対照のgenotype, alleleの頻度はほぼ同じであった。透析の有無、Crの最高値、血小板の最低値、ヘモグロビンの最低値は(1)〜(5)のいずれの多型とも有意の相関を示さなかった。 【結論】ベロ毒素産生大腸菌によるHUSの発症、進行にTNF-α、IL-1β関連遺伝子多型は関与しない可能性が示唆された。
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