研究概要 |
慢性腎不全に合併する重篤な2次性副甲状腺機能亢進症の副甲状腺に対して、副甲状腺摘出術を施行された副甲状腺組織よりmRNAを抽出し、cDNAを作製し、さらに市販のヒト甲状腺のmRNAよりcDNAを作製し、それらを用いてSuppression Substractive Hybrization法で、副甲状腺に特異的な遺伝子のクローニングを行い8個の遺伝子をサブクローニングした。そのうち1個はPTH遺伝子で、もう1個はGcmb遺伝子で、この遺伝子の欠損マウスでは、PTH遺伝子が副甲状腺原基に発現されず、副甲状腺の欠失が報告されている(Gunther等、Nature.406:199-203,2000)。さらにGcmb遺伝子のホモ変異が、副甲状腺機能低下症患者において同定されている(Ding等、J Cliin Invest 108:1212-1220,2000)このことから本研究においてSuppression Substractive Hybrization法がうまく働いていると考え残りの6個の遺伝子検索を行った、3個が新規遺伝子で、残りの3個は機能不明の遺伝子であった。3個の新規遺伝子のうちRT-PCR法、ノーサンブロット法にて特に副甲状腺に発現の強い遺伝子1個を候補遺伝子として、マウスおよびラットのクローニングを行ない、ヒト遺伝子とのホモロジーを検索すると、3'側にホモロジーの高い遺伝子産物が取れ、2次性副甲状腺機能亢進症モデル動物(5/6腎摘ラット+高リン、低カルシウム食)を用いて実験で、ラット遺伝子はヒト同様過形成副甲状腺に強発現を確認またヒト遺伝子の全長をタンパク発現ベクター(pQE-TriSystem Vector : QIAGEN)に挿入し、E.Coliで多量に発現させ、そのタンパクを抽出精製、ポリクローナル抗体を作製し、ヒト組織での発現は過形成副甲状腺主細胞であった。
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