研究概要 |
ヒト有機アニオントランスポータ(hOAT)による利尿薬の輸送の分子機構の解明 1.利尿薬(ループ、サイアザイド、炭酸脱水素酵素阻害薬)によりhOAT1、2、3、4による有機アニオン輸送が阻害された。2.阻害実験のIC50値を基にすると、hOAT1、hOAT3は各々サイアザイド系利尿薬、ループ利尿薬、に対する親和性が高かった。3.OAT1とacetazolamideとの相互作用にはヒトとラットとの間で種差が認められた。4.HOAT1、3、4によるbumetanide輸送活性が認められ、hOAT3、hOAT4によるbumetanide輸送のKm値は1586nM、306μmであった。5.HOAT3、4によるbumetanide排出活性が認められた。6.HOAT1,3によるループ利尿薬furosemideの輸送活性が認められた。結論として、各hOATsの腎内局在を考慮すると、hOAT1、3は近位尿細管基底側での利尿薬の腎移行に、hOAT4は上皮側における利尿薬の尿中排出あるいは再吸収に関与することが示唆された。中でもhOAT1、hOAT3は各々サイアザイド系利尿薬、ループ利尿薬、の腎移行へ各々関与することが強く示唆された。またbumetanideは基底側においてhOAT1,3により取り込まれ、上皮側においてhOAT4により尿中に排出される一方向性輸送機構が考えられた。 II.ヒト有機カチオントランスポータ3(hOCT3)による抗不整脈薬の輸送の分子機構の解明 1.hOCT3はquinidineを時間、濃度依存的に輸送し、そのKm値は216μMであった。2.hOCT3はquinidineを時間、濃度依存的に輸送し、そのKm値は139μMであった。3.HOCT3はprocainamide, disopyramideの輸送活性を示した。4.種々の抗不整脈薬はhOCT3による有機カチオン輸送を阻害しそのIC50値は0.75〜656μMであった。結論としてhOCT3は腎での抗不整脈薬輸送に関与する。
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