研究概要 |
本研究は内臓逆位、嚢胞形成腎を有するトランスジェニックマウスから同定した、左右決定遺伝子invの機能解析を基礎としているが、今回は本遺伝子のノックアウトマウスを作製し、産物蛋白の機能解析を行い、その働きを明らかにするとともに、表現型で認められた器官の形態異常に着目し、疾患モデル動物の開発を行うことを基調とした。 今年度は、最終的なコンストラクトを完成し、ES細胞への導入を行ったが、一部構築のミスがあり、サザンブロット解析では想定される構築と異なっていた。このため、再度PCRスクリーニングに可能なPrimerの作製を行った。これによるコンストラクトでは想定どおりの構築がなされていた。最終的な確認はサザンブロットで行った。 また、今年度はinv遺伝子の機能解析の目的で培養細胞を用いた、RNAiおよび過剰導入による細胞増殖への影響、発現遺伝子の網羅的解析をおこなった。Invは細胞増殖に影響を与え、また、これにより関連する遺伝子群を抽出することができた。遺伝子としては、Bmp7, metalloproteinase, selectin, tenascin, catenin cadherinなどの遺伝子の発現に変化が認められた。さらに繊毛の構成蛋白と関連の深い分子CD2APの機能解析を動物モデルおよび尿細管培養細胞でやはり遺伝子の過剰発現、RNAiによる抑制状態を作製して解析し報告した。CD2APは嚢胞腎原因遺伝子PKDおよびinvと関連のある発現変化がみられ、おもにアポトーシス関連遺伝子その相互発現の変化が観察された。
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