研究概要 |
1.リボザイムの生体内デリバリー法の検討 PDGFA-A鎖mRNAおよびTGF-β1 mRNAに対するDNA/RNAキメラ型リボザイムをFITCラベルし、1mgを生体分解型ゼラチンと30分インキュベートしリボザイムを包埋し、体重200gのWistarラットに1mgのFITCラベルリボザイムのみ、ゼラチンに包埋されたリボザイムを腹腔内もしくは静脈内で投与した。投与1,2,3日後に脳、心臓、大動脈、腎臓、肝臓を摘出し、脱血した後、生理食塩水で洗浄した後、10%ホルマリン緩衝液で固定し、組織切片を作成する。プレパレートに紫外線をあて、発光を半定量化し組織の取り込みを評価した。コントロールに比し、ゼラチンに包埋されたFITCラベルリボザイムは腎糸球体のメサンジウム細胞領域、尿細管領域に有意に取り込まれた。 2.リボザイムの腎障害モデルへのin vivoでの作用の検討 TGF-β1に対するリボザイム発現アデノウイルスまたは生体分解型ゼラチンに包埋したリボザイムをDahl-Sラット腹腔内投与し、さらに8%食塩食を2週間投与した。リボザイム発現アデノウイルスまたは生体分解型ゼラチンに包埋したリボザイムとも尿蛋白量を半減させた。さらにリボザイム発現アデノウイルスまたは生体分解型ゼラチンに包埋したリボザイムreal time PCRによるTGF-β mRNA発現およびウエスタンブロットによるTGF-β1蛋白に対しても同程度に有意に抑制した。 3.リボザイムの生体での安全性の確認 In vivoで通常の10倍量のリボザイムを生体分化型ゼラチンに包埋し、8週齢のWistarラット、体重200gのラットに腹腔内投与し、脾臓、骨髄、精巣、腎臓、心臓、腎を摘出し、組織学的に検討した。大量のリボザイムによっても、組織では炎症細胞の浸潤、線維性変化等は認められず、リボザイム治療の安全性が確認された。
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