研究課題
<自己抗体の認識epitopeによるフリーラジカル産生の制御>典型的な自己抗体型腎炎であるgoodpasture症候群では、その対応自己抗原がtype IV collagen α3鎖であることが明らかにされている。腎糸球体メサンギウム細胞が(Extracellular-superoxide dismutase)EC-SODとケモカインの産生が負の相関を示すことを認め、局所における好中球浸潤と酸素ラジカル産生に強い関連が存在することが明らかとなった。この自己抗体の認識抗原の違いによるラジカル産生、EC-SOD産生の違いが認められるかを検討した。その結果、抗体の認識するepitopeにより酸素ラジカル産生が異なること、また、EC-SODの産生量に違いを認めた。EC-SOD産生量の違いが抗体による直接の作用か、ラジカル産生量を反映したものであるかについては、現在検討中である。<ヒト・ラットのEC-SODに共通に反応する抗体による発現・制御の検討>EC-SODに対するモノクローナル抗体の開発の過程から、ヒト・ラットに共通した免疫組織化学・ウエスタンブロッティングに利用可能な抗体が得られEC-SODの活性中心で種を超えてアミノ酸配列が保存されている領域を認識していることが判明した。この抗体を利用して、実験腎炎におけるEC-SOD発現の検討を行った。その結果、腎炎での細胞浸潤部位に優位に発現を認めた。<EC-SOD発現制御とメサンギウム細胞増殖>実験的腎炎でメサンギウム細胞増殖とEC-SOD産生との関連をin vitroで再現することを試みた。その結果、培養メサンギウム細胞にアドリアマイシン等の腎炎惹起物質を添加するとともに、EC-SODの産生が減弱することが判明した。in vivoのアドリアマイシン投与の腎症モデル等では、腎炎惹起物質がが直接、EC-SODを産生制御しているのか、腎炎惹起物質より産生される酸素ラジカルが間接的にEC-SODの産生を抑制していることが示唆された。今後、腎炎の惹起物質の違いによるEC-SOD産生への影響についても検討したい。<メサンギウム細胞増殖とEC-SOD>腎炎モデルでは細胞の増殖部位に一致してEC-SODの発現が認められ、in vitroでは腎炎惹起物質の添加によりEC-SODの産生が抑制されるような乖離を認めた。今後は、相互の関連を明確にするような理論構築を試みたい。
すべて 2005
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Clin Exp Nephrol 9
ページ: 69-73
日本腎臓学会誌 47
ページ: 32-37