研究概要 |
様々な脳神経変性疾患におけるユビキチン/プロテアソーム系異常の関与が明らかにされつつある。ユビキチン化されたタンパク質は、アルツハイマー病の神経原線維、パーキンソン病のレビー小体、トリプレットリピート病の核封入体など種々の神経変性疾患の不溶化凝集体の共通成分である。本来プロテアソームで分解されるべきユビキチン化タンパク質の凝集、異常蓄積はユビキチン/プロテアソーム系の機能異常を示唆する。シナプス脱ユビキチン酵素(synUSP)は申請者がクローニングに成功した新規脱ユビキチン酵素である。最近までの研究で、申請者らはこの酵素が1036アミノ酸から構成され、N末に脱ユビキチン活性ドメインを持ち、C末にユビキチン様領域を有し、大脳のシナプス後肥厚部(PSD)画分に濃縮されることを明らかにした。また、synUSPのカルボキシル末端に対する抗血清も作製済し、大腸菌を用いたモデル基質に対する脱ユビキチン活性を有することなどの基本的な性質を明らかにした(Tian QB et al : J Neurochem,87:665-675,2003)。さらに、synUSP遺伝子を培養細胞で過剰発現することにより、細胞質内凝集体形成のモデル系を確立した。この凝集体は、レビー小体との関係解明に大変重要である。申請者らは凝集体形成に関わる部分をマッピングするための欠失変異体も作製した。ノックアウトマウスを作製するためのゲノムクローン(BAC clone)を既に入手しており、ターゲッティングベクターの構築も進行中である
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