研究課題/領域番号 |
15590893
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山下 拓史 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20311813)
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研究分担者 |
服部 信孝 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80218510)
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キーワード | パーキンソン病 / Parkin / α-synuclein / SIAH / synphilin-1 / ユビキチン化 / ユビキチンリガーゼ / Lewy小体 |
研究概要 |
Lewy小体を構成するα-synuclein、synphilin-1とそれらを基質とするユビキチンリガーゼ(E3)Parkinは、パーキンソン病の発症に関与する重要なタンパク質として世界的に注目を集めている。われわれはα-synucleinとsynphilin-1と特異的に結合し、ユビキチン化する新規ユビキチンリガーゼSIAHを発見し解析を行った。SIAHはシナプス小胞においてsynphilin-1の分解を促進し、ドパミンの放出を促進することが明らかとなった。SIAHは基質結合ドメインを介してsynphilin-1のN末端と結合し、RINGドメインを利用してユビキチン結合酵素(E2)と結合することによりsynphilin-1をユビキチン化した。SIAHはParkinの約8倍の効率でsynphilin-1をユビキチン化し、約12倍の効率で分解を促進することを見出し、SIAHはParkinと相補的に機能する可能性が示唆された。さらに、SIAHとParkinではsynphilin-1のユビキチン化部位が異なることを見出し、SIAHによってユビキチン化されたsynphilin-1は、凝集体を形成しやすいことを発見した。そこで、α-synucleinとsynphilin-1のユビキチン化プロセスにおける蛋白質の不溶化、凝集、封入体形成におけるSIAHの役割について解析を行い、SIAHによりユビキチン化を受けたsynphilin-1がリング状の凝集体を形成することを見出した。この凝集体はアグリソームとは関連せず、オートファゴソームと関連することを見出し、現在解析を進めている。Parkinと相補的に機能するSIAHの多彩な働きは、パーキンソン病の発症機序やドパミン神経細胞変性の病態を解明する上で手がかりになると考えられる。
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