研究課題/領域番号 |
15590895
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
吉村 俊朗 長崎大学, 医学部, 教授 (80182822)
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研究分担者 |
沖田 実 星城大学, リハビリテーション部, 助教授 (50244091)
本村 政勝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (70244093)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 抗MuSK抗体 / 抗アセチルコリン受容体抗体 / 抗体陰性 / 重症筋無力症 / 運動終板 / 微細構造 / MuSK / アセチルコリン受容体 |
研究概要 |
全身型のMGの20%でAcetylcholine receptor(AChR)抗体の検出がなされない。この33%で抗筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)自己抗体陽性の患者が存在する。抗MuSK自己抗体陽性の患者の上腕二頭筋で筋生検を行い病理組織学的検討を行った。抗MuSK抗体が陽性MG患者の年齢は22歳から60歳で、男性1名、女性9名で女性に多く、眼瞼下垂や複視が認められ、嚥下障害や頭部挙上困難、呼吸不全の症状を呈した。筋病理では、抗AChR抗体陽性のMGと同様全例にTypeII fiber atrophyを認めた。また、抗MuSK抗体陽性患者では、抗AChR抗体陽性のMG患者に比べ、TypeI線維が萎縮している例が多かった。しかし、TypeIやTypeII線維の萎縮の程度と抗MuSK抗体価、運動終板の変化との間の相関は認めなかった。AChR抗体陽性のMG運動終板では全例にC3の沈着が認められた。MuSK抗体陽性患者10名中2名で補体は陽性であったが、8名は陰性であった。また、MuSK抗体陽性MGの運動終板のAChR量は比較的保たれていた。電子顕微鏡で観察した運動終板では、Postsynaptic areaが狭小化していたが、foldの破壊は認めなかった。マーカインで破壊したラットの再生筋に抗MuSK抗体が陽性MG患者の血清IgGとヘパリンを作用させ、運動終板の再生に対する影響を検討したが、光顕で観察する限り、MuSK発現量、AChR量に影響はなかった。 MuSK抗体の病態発症機序は不明だが、TypeI線維の萎縮をきたし、抗AChR抗体陽性MGが補体介在性であるのとは異なり、別の機序で発症していて、MuSKは運動終板の形成維持に関与していると推察される。
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