研究概要 |
(1)マウスにおける筋の再生系作成とプラスミド筋注時期の決定 マウスの前脛骨筋を用いた再生系を作成した。マウスの前脛骨筋に0.5%塩酸ブピバカインを100μ1筋注し、筋注後24時間,48時間,72時間,4日,7日,10日,28日後に前脛骨筋を採取し、凍結固定を行った。それぞれの切片を組織化学染色を行った。24時間後では壊死線維の周囲に貪食細胞などの集簇が認められた。48時間後では壊死線維内に多数の貪食細胞がみられた。72時間後には筋芽細胞が癒合し、筋管細胞の形成がみられた。4日後にはほとんどが筋管細胞となった。7日後にはすべての筋線維が中心核を有する筋線維となったが、元の筋線維径の1/2程度であった。10日後には筋線維径は2/3となり、28日後には中心核を有する筋線維が多くみられるが、筋線維径は正常化する。この結果はラットを用いた筋の再生系と同様なものであった。 貪食細胞が多数存在する24,48時間後にプラスミド筋注するのではプラスミドは貪食細胞に貪食されるものと考えられた。72時間または4日後は筋芽細胞の癒合が盛んであり、プラスミドの取り込みがよいと考えられることからプラスミド筋注時期として最適と考えられた。 (2)発現ベクターの作成 プラスミドベクターとしてpBR322を用い、これにLacZおよびLTRを組み込んだものを発現ベクターとして作成した。 (3)LacZを組み込んだ発現ベクターを用いたgene transferの確立 マウスの前脛骨筋にO.5%塩酸ブピバカイン100μ1を筋注し、筋注後72時間に上記プラスミド10μgを筋注した。塩酸ブピバカイン筋注後10日後に筋注した前脛骨筋を採取し、凍結固定した。この切片をβガラクトシダーゼ染色した。しかしながら、βガラクトシダーゼ陽性筋線維は認められなかった。この結果、プラスミドの筋注量および濃度の検討が必要であると考えられた。
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