研究概要 |
塩酸ブピバカインを用いたマウス実験的再生系を確立した。この系におけるプラスミドを筋注する時期を貪食細胞が多数認められず、筋芽細胞の融合が盛んに起こる塩酸ブピバカイン筋注後72時間とした。プラスミドベクターとしてpBR322を用い、これにLacZおよびLTRを組み込んだものを発現ベクターとして作成した。マウスの前脛骨筋に塩酸ブピバカイン100μlを筋注し、筋注後72時間に上記プラスミド10μg、50μg、100μgを筋注した。塩酸ブピバカイン筋注後10日後に筋注した前脛骨筋を採取し、凍結固定した。この切片をβ-ガラクトシダーゼ染色した。しかしながら、β-ガラクトシダーゼ陽性筋線維は認められなかった。このため、このプラスミドを塩酸ブピバカイン処理しないマウス前脛骨筋にプラスミド10μg、50μg、100μgを筋注し、7日後に検討を行った。β-ガラクトシダーゼ陽性筋線維はわずかに認められるのみであった。このため、導入効率を上げる必要があるため、プラスミドベクターをpCMVbetaに変更した。このプラスミド10,50,100μgとしてマウス前脛骨筋に筋注し、そのβ-ガラクトシダーゼの発現を検討し、50μg以上でβ-ガラクトシダーゼ陽性線維が認められた。このことからプラスミド筋注量を50μgとした。pCMVbetaを用いた発現ベクターにTGF-beta 2のsenseおよびanti-senseとLacZを導入したプラスミドを作製。作製したプラスミド50μgをマウスの正常前脛骨筋に筋注し、それぞれの発現を確認するためにβ-ガラクトシダーゼ陽性筋線維の検討を行った。しかしながら、β-ガラクトシダーゼ陽性筋線維は認められなかった。この結果からTGF-beta 2 geneとLacZを同時に導入することで導入する遺伝子サイズが大きいために導入困難となっていることなどが考えられた。
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