研究課題
ディスフェルリン欠損症の分子病態を解明するため、患者骨格筋において2次的な発現異常を示すタンパク質を免疫組織化学法にて検索し、アフィキシンを同定した。アフィキシンはインテグリンを介したシグナルをアクチン細胞骨格系の再構成に繋げ、細胞接着・細胞運動において重要な役割を果たしている。申請者らは正常骨格筋においてアフィキシンはディスフェルリンと複合体を形成し細胞膜に局在しているが、ディスフェルリンの欠損した骨格筋ではアフィキシンは細胞膜から欠落することを見いだした。この結果からディスフェルリン結合タンパク質であるアフィキシンは骨格筋の細胞膜修復に関与すること、そのプロセスにはアクチン細胞骨格が動員されることが予想される。アフィキシンはグアニンヌクレオチド交換反応促進因子(GEF)を刺激し、Rhoファミリー低分子量GTPase(Rho GTPase)が活性型になるとアクチン細胞骨格系が再構成されることが共同研究者により報告されている。そこでディスフェルリンと結合するGEFを免疫沈降法にて探索したところβPIX(PAK-interacting exchange factor)を同定した。骨格筋培養細胞で細胞内分布を免疫組織化学にて解析すると、アクチン細胞骨格系の再構成が活発に行われているlamellipodia(波打ち膜)にディスフェルリン・アフィキシン・βPIXの3者が集積することを見いだした(投稿準備中)。またディスフェルリンが活性化型Rac1(Rho GTPaseの1種)に結合し、非活性型には結合しないことを見いだした。これらの結果はディスフェルリンがアフィキシン・βPIXと共同でアクチン細胞骨格系の調節に関わっていることを示唆する。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
The Journal of Immunology 176(6)
ページ: 3611-3624