研究概要 |
昨年の研究によって、糖尿病治療薬の中ではgliclazide(GCZ)、glibenclamide(GBC)、pioglitazone(PIO)が脂肪細胞(AP-18)におけるadiponectin(Adipo)およびGLUT4の遺伝子発現を促進し、adiponecitn蛋白産生を増強することが明らかになり、その作用はGBCよりもGCZが大きい傾向にあった。 本年は、これらの薬剤のヒト血中アディポサイトカイン濃度に及ぼす影響を解析するために、薬剤単独投与中の2型糖尿病患者の血中TNF-α、IL-1β、IL-6、Adipo、レプチンを測定した。GCZ群(n=14、平均年齢66.2±12.1歳)、GBC群(n=16、67.3±9.5歳)、PIO群(n=3、59.0±13.0歳)における濃度は、それぞれ、TNF-α(pg/ml)は1.6±0.6,4.2±7.7,2.3±0.9;IL-1β(pg/ml)は0.3±0.4,0.4±0.6,0.4±0.2;IL-6(pg/ml)は5.8±11.2,3.0±3.3,1.6±0.3;Adipo(μg/ml)は8.7±5.7,6.7±5.7,7.4±1.4、レプチン(pg/ml)は5.4±4.0,6.3±6.8,7.1±6.6であった。 少数例であり、測定値のバラツキが大きいが、GCZとGBCの比較では、我々の従来のin vitroやマウスの実験結果と矛盾なく、血中TNF-α濃度はGBC群よりもGCZ群で低く、逆にAdipo濃度はGBC群よりもGCZ群で高い傾向にあった。
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