研究課題
基盤研究(C)
C3H/Heマウス皮下組織由来の新規前駆脂肪細胞株のAP-18細胞は脂肪細胞特異的遺伝子や脂肪細胞関連遺伝子を発現しており、インスリン添加のみで容易に白色脂肪細胞に分化する細胞であることを明らかにした。次に、AP-18細胞を用いインスリン抵抗性改善作用が示唆されている臨床薬剤や対照薬のadiponectinおよびGLUT-4の遺伝子発現とadiponectin蛋白産生に及ぼす影響を解析した。SU薬のGliclazideとglibenclamide、チアゾリジン薬のpioglitazone、ACE阻害薬のdelaprilはadiponectinとGLUT4の遺伝子発現、及び培養上清中adiponectin濃度を増強したが、ビグアナイド薬のmetformin、ACE阻害薬のtemocaprilとcaptopril、ARBのcandesartane、α1遮断薬のdoxazosine、β1遮断薬のmetprololとselectol、システイン化合物のmethylcysteineなどにはこれらの作用はなかった。最後に、SU薬のgliclazideとglibenclamideのヒト血中adiponectin濃度に及ぼす影響を解析するために、薬剤単独投与中の2型糖尿病患者(n=14〜16)の血中TNF-α、IL-1β、IL-6、adiponectin、レプチンの濃度を測定した。少数例であり、測定値のバラツキが大きいが、血中TNF-α濃度はglibenclamide投与群よりもgliclazide投与群で低く、逆にadiponectin濃度はglibenclamide投与群よりもgliclazide投与群で高い傾向にあった。SU薬に脂肪細胞のadiponectin・GLUT4遺伝子発現増強およびadiponectin蛋白産生増強作用のあることがAP-18細胞を用いて明らかになった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Tohoku J Exp Med. 206(1)
ページ: 23-30
Tohoku J Exp Med. 205(4)
ページ: 327-334