研究課題/領域番号 |
15590930
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大須賀 淳一 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10334400)
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研究分担者 |
田村 嘉章 東京大学, 医学部附属病院, 医員
矢作 直也 東京大学, 医学部附属病院, 医員
大橋 健 東京大学, 医学部附属病院, 助手
岡崎 啓明 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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キーワード | 肥満 / ホルモン感受性リパーゼ / トリグリセリド |
研究概要 |
ホルモン感受性リパーゼ欠損(HSLKO)マウスは、脂肪細胞の肥大化を認めるものの肥満の表現型を呈さなかった。この表現型が肥満モデルにおいても再現されるものかどうか検討した。肥満モデルマウスのob/obマウスとHSLKOマウスを交配してレプチンとHSLの両者を欠損したマウスを作成した。このマウスはob/obマウスに比べ、約11週より有意に低体重であった。白色脂肪組織の重量が減少しているためであった。組織学的にはアポトーシスの関与は少なく、小型の前駆脂肪細胞と考えられる分画が増加していた。PAR-γ、SREBP-1の発現が低下し、ADRP(adipocyte differentiation related protein)の発現が増加していたことより、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化が障害していると想定された。また、このマウスはob/obマウスと異なり過食を示さず、摂餌量は野生型と同等であった。ob/obマウスでは血中コルチコステロンの増加が、過食と関連していると報告されている。一方、HSLKOマウスはACTH負荷後のコルチコステロン分泌が障害されているので、血中コルチコステロン濃度を測定したがob/obマウスとの差はなかった。むしろ、視床下部のNPYとAgRPの発現が低下していることが主要な原因と考えられた。以上の結果より、HSLの活性低下は食欲の抑制や肥満の抑制をもたらす可能性が示唆され、新しい肥満症治療のターゲットとなりうることが示された。
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