研究課題
インスリンの長期刺激でmTORを介するシグナルが増強し、IRS-1のセリン或いはスレオニンの燐酸化が見られ、その為IRS-1の細胞内の存在場所が変換しプロテアソームで分解を受ける。我々は、3T3-L1細胞を用い、インスリンの長期刺激した後、mTORのシグナルを抑制するラパマイシンにて処理し、各種燐酸化されたセリン残基を認識する抗体を用い、ウエスタン・ブロットにて検討したところ、IRS-1の307、612、636、639番目のセリンの燐酸化が、IRS-1の分解に関わっていることが明らかとなった。このようなインスリン作用の抑制に対して、JNKの阻害剤であるSP600125でもrescueできる事から、JNKもインスリンによるnegative feedbackに関係していることが示唆された。しかし、JNKは307番目のセリンのみをリン酸化し、またJNKを活性化するアニソマイシンは、IRS-1の細胞内のre-distributionや分解をもたらすことはなく、JNKとmTORのインスリンによるnegative feedbackに対して、異なったメカニズムにてインスリン抵抗性をもたらすことが考えられ、これら2系統のシグナル伝達がインスリンのシグナル伝達のnegative feedbackにどの程度密接に、又どの程度の割合で貢献しているか、またIRS-1のre-distributionに対してセリン残基の307番目以外すなわち612、636、639などのセリンの燐酸化が必要と思われる。また、アニソマイシンによるJNKの活性化は未だ明らかにされていないメカニズムでIRS-1のtranslocationあるいはプロテアソームによる分解を抑制する可能性も否定できない。炎症性サイトカインはインスリン抵抗性を招来するが、そのシグナル伝達の経路としてJNKも経由することも知られているが、各種サイトカインのIRS-1のセリン燐酸化や分解との関係を明らかにすることが必要であり、現在更にこの問題に検討を加えている。
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