研究課題
基盤研究(C)
本研究ではアンジオテンシン変換酵素阻害薬(angiotensin-converting enzyme inhibitor ; ACE-I)投与により血清中で増加するN-acetyl-seryl-aspartyl-lysyl-proline (Ac-SDKP)が腎保護作用を発揮することを仮説として、繊維性増殖疾患の中心的役割を演じるサイトカインであるTGF-β作用の細胞内情報伝達系に対するAc-SDKPの分子機構とin vivoにおける効果を検討した。a.TGF-β刺激によるtype I collagen発現の増強を、Ac-SDKPが濃度依存性に抑制することb.TGF-β刺激によるSmad結合部位を有するルシフェラーゼリポーター活性(4XSBE-Luc)及びAP-1結合部位を有するルシフェラーゼリポーター(3TP-Luc)活性の増強Ac-SDKPが抑制することc.TGF-β刺激によるSmad2のリン酸化、およびSmad2、3の核内移行を、Ac-SDKPが抑制することd.Ac-SDKPによりSmad7が核内から細胞質分画へ移行することを見出し、Ac-SDKPによる抑制性Smad7の細胞局在の変異により、Ac-SDKPは抗TGF-β作用を発揮することが明らかとなった。次いで、2型糖尿病モデルマウス(db/dbマウス)を対象として、Ac-SDKP (osmotic mini-pump;1000のμg/kg/日)投与を行ない、a.腎機能;Ac-SDKP投与により血清クレアチニンの低下することb.組織検査;Ac-SDKP投与によりPAS染色によるメサンギウム領域の拡大、免疫組織検査によるTGF-β発現、type IV collagen発現、fibronectin発現が改善されることを見出し、Ac-SDKPが糖尿病性腎症に対する治療薬となり得る可能性を明らかにした。
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Diabetes 54
ページ: 200-208
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J Am Soc Nephrol. 14
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