われわれがフォローアップしている1型糖尿病およびGAD抗体陽性NIDDM患者の血清を用いて、GAD抗体エピトープの解析を行った。その結果、GAD65-N/GAD67-MC、GAD65-NM/GAD67-C、GAD65-N/GAD67-M/GAD65-C、GAD67-N/GAD65-MC、GAD67-NM/GAD65-C、GAD67-N/GAD65-M/GAD67-Cの6つのキメラ分子のうち、GAD67-NM/GAD65-CおよびGAD67-N/GAD65-MC蛋白と反応する者が多く、GAD65-N/GAD67-MC蛋白には一部の血清しか反応しなかった。すなわち、1型糖尿病およびGAD抗体陽性NIDDM患者のGAD抗体の主要なエピトープは、GAD65の中央部分(E1)とC末端部分(E2)に存在していることが明らかとなった。また、GAD抗体陽性NIDDM患者の追跡症例において、E2のみのエピトープを認識しているGAD抗体を有している患者では、E1を有している患者に比べインスリン治療へ移行するものの頻度が少なかった。これらの結果をもとに、GAD65のrandom phage display cDNA libraryを作成し、患者血清との反応を検討し、いくつかの特異的クローンを得た。 これらの結果は、GAD抗体陽性NIDDM患者においてインスリン分泌不全への進行を早期に予知する手段としてエピトープ解析が有用であることを示唆している。
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