研究概要 |
DECODE studyは負荷後2時間血糖値は空腹時血糖値とは独立して心血管死亡率に関与することが明らかにしたが、同様の解析をアジア系人種で行った。対象はDECODAデータベースの5か国5研究6,817名(30-89歳)であり、追跡期間の中央値は5年であった。既知糖尿病患者511人を除いた6306名においてCox regression modelを用いて総死亡と心血管死にたいするハザード比(95%信頼区間)を、年齢、性、Body Mass Index(BMI)、血圧、総コレステロール値、喫煙、血糖値を説明変数として推定した。世界標準人口で補正すると、糖尿病有病率、総死亡率、心血管死亡率は、南半球在住のアジア系インド人で最も高率であり、ついで米国とブラジル在住日系人で高率であり、日本在住日本人で最も低率であった。観察開始時の既知の心血管リスクファクターは、南半球在住のアジア系インド人で最も高値であり、ついで米国とブラジル在住日系人で高く、日本在住日本人で最も低かった。2時間血糖値は、空腹時血糖値や年齢、性、BMI、血圧、総コレステロール値、喫煙からは独立した総死亡、心血管死の予測因子であった。また、総死亡の危険度は耐糖能以上(IGT)より低い2時間血糖レベルから、心血管死の危険度は糖尿病診断基準値(200mg/dl)より低いレベルから有意に上昇を会誌した。一方、空腹時血糖値は、年齢、性、BMI、血圧、総コレステロール値、喫煙から独立した死亡予測因子であったが、その危険度は糖尿病診断基準値(126mg/dl)以上ではじめて有意となり2時間血糖値で調整した後では有意ではなくなった。アジア系人種においても、糖負荷後2時間血糖値は、空腹時血糖値や既知の心血管病リスクファクターから独立した総死亡、心血管死の予測因子であり、その危険度は2時間血糖のIGTレベルから上昇していた。空腹時血糖値は死亡の予測因子であったがその予測は2時間血糖値に依存していた。糖尿病のスクリーニングは、早すぎる死に対するハイリスク群としてIGTを捕捉するものであることが重要と思われた.
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