研究課題
基盤研究(C)
【背景】糖尿病性神経障害の発生機序として、慢性高血糖に起因する種々の代謝異常に由来する可能性と、神経線維への栄養血管である微小血管の血流障害により惹起される可能性が提唱されている。我々はこれまでに下肢虚血モデルラットの血流低下が骨髄・末梢血単核球細胞移植による血管新生療法により改善することを報告した。1、基礎研究【目的】糖尿病モデルラットの下肢末梢神経障害への骨髄(BMMNC)・末梢血(PBMNC)由来の単核球細胞分画移植の有効性を検討した。【方法】STZ糖尿病ラットを作製しBMMNC・PBMNCを左下肢に移植した。移植前後に末梢神経伝達速度(NCV)、移植後に神経血流量(NBF)・神経内血管数を測定した。【結果】BMMNC・PBMNC移植後、移植肢のNCV-NBFに有意な改善を認めた。このNCV改善はVEGF中和抗体により抑制された。神経内血管数に差はなかった。【結語】糖尿病ラットの下肢末梢神経障害がBMMNC・PBMNG移植により改善し、一部VEGFを介していることを明らかにした。また神経内の血管増生に由来しない神経内血流量の増加に伴い起こることが示唆された。したがって、骨髄・末梢血単核球細胞移植は糖尿病性末梢神経障害への新しい治療法となる可能性が明らかとなった。2、臨床研究【目的】そこで次に難治性末梢神経障害を有する2型糖尿病患者に対し末梢血由来単核球細胞移植を行い臨床的有用性を検討した。【方法】糖尿病性神経障害治療薬にて治療抵抗性の2型糖尿病患者2症例に対して末梢血単核球細胞移植を行った。移植前後で自覚症状・NCV・振動覚・組織酸素分圧・モノフィラメント・足部MRAにて比較した。【結果】移植前後で一部自覚症状の改善は認められたがNQV・血流の明らかな改善は認められなかった。【結語】糖尿病性神経障害患者に対する末梢血単核球細胞移植は自覚症状を部分的に改善するが客観的指標に変化は認めなかった。
すべて 2006
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Exterimental Neurology in press
Experimental Neurology (in press)