甲状腺ホルモン受容体(TR)やレチノイン酸受容体(RAR)、ビタミンD受容体(VDR)、ペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体(PPAR)などの核内受容体は、リガンド依存性転写制御因子であり、DNA上に存在する標的配列に結合し、その生理作用を発揮すると考えられている。現在までの核内受容体間のクロストークおよび相互作用の解析結果より、核受容体の生理作用がその特異的標的配列に結合することなく発揮される場合があることを見出した。 (A)PPARγと特異的に相互作用するインスリンプロモーター転写制御因子のクローニング。 1)核抽出液からの精製過程を必要としない蛋白-蛋白相互作用を示す因子のクローニング法として、T7ファージディスプレイ法を応用した方法を確立を用いて生化学的に蛋白-蛋白相互作用を示す因子のクローニングを行った。この因子の存在はインスリノーマ細胞で確認しているため、ハムスターインスリノーマ細胞(HIT-T15 cell)よりcDNAを作成しT7ファージディスプレイライブラリーを構築した。大腸菌で発現したGST-PPARγ、TR、VDR、RARをそれぞれグルタチオンビーズに結合させ、PPARγを特異的に認識し結合する蛋白をクローニングした。 (B)VDR-PPARα間に存在する特異的受容体間の共役因子のクローニング。 1)申請者はVDRがVitaminD3依存性にPPARαの応答配列上での転写活性を抑制することを見出している。このPPARα/VDRのクロストークはこの二者間で特異的であり、PPARの他のアイソフォームまたは他の核受容体では存在しない。さらに、VDR-PPARα間には直接の相互作用はなく特異的な共役因子を介したクロストークであることを確認した。このVDR-PPARα間に存在する特異的受容体間の共役因子をクローニングを行った。
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