北アフリカ地方に限局する特殊な疾患であるAAA(Triple A)syndromeは、副腎皮質刺激ホルモン(ACrH)抵抗性副腎皮質機能低下症(ACTH resistallce)、無涙症(Alacrima)、アカラジア(Achaladla)を発症する。この疾患において、ACTHは充分に分泌され、正常なAcrH受容体が副腎皮質に発現しながら、副腎皮質機能低下症を呈する。アデニルシクラーゼなどcAMP産生系が存在するにもかかわらず、細胞内情報伝達が行われない。この特殊な病態から見いだされた原因遺伝子(AAAS)がコードする蛋白はALADIN(Alacrima Adrena Insufficiency Neurorogic Disorder)またはAdracalinと名付けられている。このALADINの生体内分布(特に副腎皮質・下垂体)と機能を解析するために、ALADINに対する特異抗体の作成と免疫染色の確立を行った。ALADINのN端(57-70)とALADINのC端(386-400)をハプテンとして作成し、それぞれをグルタールアルデヒド法でウシ血清アルブミンとコンジュゲートして抗原とした。抗原を、家兎に免役して抗血清を得た。抗原ペプチドを用いたELISAでは、高抗体価が確認できた。剖検で得られたヒト副腎組織を用いて行った免疫組織染色では、N端抗体1500倍、C端抗体2500倍で、使用可能であった。現在までに、ウェスタンブット法で副腎皮質において蛋白発現を認め、RT-PCR法で遺伝子発現を認めている。
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