研究課題/領域番号 |
15590976
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大森 幸子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (20233273)
|
研究分担者 |
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00211871)
服部 公彦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (90359745)
今井 常夫 名古屋大学, 医学部付属病院, 講師 (80252245)
|
キーワード | hDiminuto / 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) / 副腎皮質 / デキサメサゾン / PCNA / p27kip1 |
研究概要 |
我々が同定したhDiminuto遺伝子の発現は、コルチゾル産生副腎腺腫に隣接する萎縮副腎組織で著しく減少しており、同時に多数の細胞のアポトーシスが認められたことから、hDiminutoはアポトーシスの抑制を介して副腎皮質細胞の増殖に重要な役割を果たしていると考えられた。昨年のラットを用いた研究では、ウエスタンブロット法により、グルココルチコイドが副腎のhDiminutoの発現を低下させ、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)はこれを増加させること、更にS期特異的蛋白PCNA (Proliferating cell nuclear antigen)の発現がhDiminutoの発現と密接に連関することを見出した。すなわちACTHはhDiminutoの発現を介して副腎細胞の増殖を刺激することが示唆された。そこで本年度の研究では、副腎のどの細胞がACTHに感受性であるかを検討するとともに、cyclin dependent kinase(CDK)抑制蛋白p27kip1のACTHによる発現調節を検討した。p27kip1はG0/G1期にcyclin D-CDK4に結合してその機能を抑制しS期への進行を抑制する蛋白であり、そのノックアウトマウスでは副腎髄質の腫大が報告されている。【方法】6週齢のラットにデキサメサゾン4mg/kg(Dex)を連続5日間腹腔内投与しACTH分泌を抑制した後、ACTH-Z(50 IU/kg)を筋注し、0、12、24、48、72時間後に副腎を摘出した。免疫組織化学法によりPCNA、p27kip1の発現を検討した。【結果】コントロールの副腎ではPCNA陽性細胞は主に髄質と皮質球状帯に認められ、Dexにより球状帯の陽性細胞が著明に減少した。ACTHは投与48、72時間後に球状帯の陽性細胞を増加させた。一方p27kip1の染色では、コントロール副腎、DEX処理副腎とも髄質に陽性細胞が集積していたが、皮質の球状帯、束状帯、網状帯の各帯で散在的に陽性細胞が認められた。ACTH投与後皮質の陽性細胞が著明に減少し、72時間後には球状帯で多数の陽性細胞が出現した。2重染色を行うとこのp27kip1陽性細胞はPCNA陽性細胞とは別の細胞であった。【結語】ACTHにより増殖する副腎皮質細胞は主に球状帯に存在し、ACTHはp27kip1の発現低下を介して細胞をS期に進行させることが示唆された。一方で、ACTHは増殖刺激後にはp27kip1の発現増加を介して増殖を抑制し分化を促進することが示唆された。
|