研究概要 |
1.ストレス時の脳内Ucn-2 mRNAの発現に関する検討 ラットに拘束ストレスを加えると、脳視床下部室傍核の小細胞群のうち、CRFを産生する細胞の45%でUcn-2 mRNAの発現が増強した。一方、飲水を3日間禁止する絶水ストレスを加えると、室傍核の大細胞群のvasopressinを産生する細胞のほとんどで、Ucn-2 mRNAの発現が増強した。一方、青斑核のUcn-2 mRNAはこれらのストレスで変化を示さなかった。以上により室傍核のUcn-2がストレス時の下垂体前葉や後葉の機能調節に関与している可能性が示唆された。 2.Ucn-2およびUcn-3脳室内投与の視床下部のCRH, AVPの発現、血漿ACTH, AVPおよびcorticosterone分泌に及ぼす影響 1)Ucn-2の脳室内投与の影響 Ucn-2(7.5μg)の脳室内投与5〜15分後にplasma ACTHが上昇した。また、投与後15分後に視床下部室傍核(PVN)のc-fos mRNAやCRH hnRNAの発現が有意に上昇した。一方、PVNや視索上核(SON)の大細胞群領域のAVP hnRNAの発現は対照群に比し有意差は認められなかった。CRH受容体の非選択的拮抗薬α-helical CRF9-41およびCRHのタイプ2受容体選択的拮抗薬のantisauvagine-30はいずれもUcn-2によるACTH分泌を抑制した。 2)Ucn-3の脳室内投与の影響 Ucn-3をラット側脳室へ投与して同様の検討を行った。Ucn-3(7.5μg)の脳室内投与はplasma ACTHを5〜30分後に有意に上昇させた。Ucn-3投与後15、30分後にPVNのc-fos mRNA、CRH hnRNAの発現が有意に増加した。 以上より、Ucn-2やUcn-3は視床下部のCRHR2受容体を介して、CRHの発現,ACTH分泌に促進的に作用していることが示された。
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