研究概要 |
本年度は主に研究目的前半の『核レセプターLXRによるヒトレニン遺伝子発現制御に関する検討』を行った. A.LXRはヒトレニン遺伝子プロモーター領域に結合できるか?:in vitro転写翻訳系にて合成したLXR蛋白とプローブとしてヒトレニン遺伝子プロモーターCNREを用いてゲルシフト法による検討を行い,LXR蛋白がヒトレニン遺伝子プロモーターのCNREに結合できることを確認した. B.LXRはヒトレニン発現細胞(Calu-6細胞)においてヒトレニン遺伝子プロモーターを活性化させるか?:classical CRE(-223 to -216),CNRE(-135 to -107),およびRP-2/PLE/PPE(-78 to -60)の3つの領域を含むヒトレニン遺伝子プロモーター領域(-580 to +16)とルシフェラーゼ(luc)遺伝子とのキメラ遺伝子をLXR発現ベクターとともにリポフェクション法によりCalu-6細胞に一過性に遺伝子導入してリポーターアッセイを行い,LXRの一過性過剰発現によってcAMP刺激下のヒトレニン遺伝子プロモーター転写活性が亢進することを明らかにした. C.定常的LXR蛋白発現Calu-6細胞においてはヒトレニン遺伝子プロモーターCNREに対するLXR結合能が増加するか?:定常的LXR蛋白発現Calu-6細胞の核抽出液を調整し,プローブとしてヒトレニン遺伝子プロモーターCNREを用いてゲルシフト法およびDNase I footprinting法を行い,定常状態およびcAMP刺激下のヒトレニン遺伝子プロモーターCNREに対するDNA結合能が増強されることを明らかにした.さらに,抗LXR抗体を用いたスーパーシフトゲルシフト法により,ヒトレニン遺伝子プロモーターCNREに対するDNA結合能が主に定常的に遺伝子導入されたLXRのCNREへの結合によるものであることを確認した. D.定常的LXR蛋白発現Calu-6細胞においてヒトレニン遺伝子の発現が増加するか?:定常的LXR蛋白発現Calu-6細胞において,Northern blot,Western blot解析を用いてヒトレニン遺伝子mRNA,蛋白発現量を調べ,ヒトレニン遺伝子発現が増加することを明らかにした. E.部位特異的変異型LXRはdominant negative type LXRとして機能するか?:定常的LXR蛋白発現Calu-6細胞において,部位特異的変異型LXRを一過性に過剰発現させ,リポーターアッセイによりヒトレニン遺伝子プロモーター転写活性を調べるとともにNorthern blot,Western blot解析を用いてヒトレニン遺伝子mRNA,蛋白発現量を調べることにより,これら変異型LXRがdominant negative type LXRとして機能することを明らかにした. 以上の一連の研究成果について,第26回日本高血圧学会総会(宮崎)において発表し,現在英文誌投稿中である.
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