グレリンはGHS(growth hormone secretagogue)受容体の内因性リガンドとしてラットの胃から同定された。グレリンは胃のみならず視床下部および下垂体にも発現されており、その受容体GHS-Rは視床下部と下垂体に存在する。本研究ではまず下垂体グレリンの遺伝子発現について検討した。GH遺伝子の異常によるGH欠損ラット、抗甲状腺薬を投与し甲状腺機能低下状態のラットなど視床下部GHRH(growth hormone releasing hormone)発現の亢進したラットでは、下垂体グレリンの遺伝子発現は増加していた。一方、GH欠損ラットへのGH補充、デキサメサゾンを投与しグルココルチコイド過剰状態にしたラット、T3を投与して甲状腺中毒状態にしたラット、72時間絶食にしたラットなど視床下部GHRHの発現が低下する状態では下垂体グレリンの遺伝子発現が低下していることが明らかになった(第30回日本神経内分泌学会)。次に、甲状腺中毒症では過食が起こることが報告されているが、このメカニズムについて検討した。甲状腺中毒症では血中レプチン濃度は低下するが、血中グレリン濃度は有意に変化せず、甲状腺中毒症の過食にはグレリンは関与していないことを明らかになった(Neuroendocrinology)。更に我々は、胃潅流法を用いて、インスリンおよびレプチンが胃に直接作用してグレリンの分泌を抑制することを明らかにした(Regul Pept)。
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