研究概要 |
本研究においては、自己のHLA class I分子を発現している正常細胞を攻撃することなく(GVHD抑制)、HLA class I分子の発現が低下あるいは消失している白血病細胞を攻撃できることになる(GVL/T誘導)抑制性NK細胞受容体陽性細胞を同種末梢血幹細胞移植に使用するGranulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) mobilized peripheral blood mononuclear cells (G-PBMC)を用いて増幅する方法を検討した。G-PBMCを抗CD3抗体とサイトカイン(,IL-12,IL-15など)とともに培養すると抑制性NK細胞受容体(CD94/NKG2A)発現CD8細胞が100倍以上に増幅されることが見い出された。さらに、G-PBMCに大量に含まれているCD14陽性単球の関与について検討してところ、CD14陽性単球はT細胞との接着に依存してCD94/NKG2A発現CD8細胞を増幅しうることが明かとなった。 このようにして増幅したCD94/NKG2A発現CD8細胞はHLA class I分子の発現が欠如した白血病細胞株K562に対して細胞障害活性を示したが、HLA class I分子を過剰に発現する自己あるいは同種PHA blastを障害することはできなかった。また、NOD/SCIDマウスにおけるK562の増殖をin vivoで抑制することができた。 従って、CD94/NKG2A発現CD8細胞はHLA class I分子の発現をモニターしつつGVHD抑制/GVL増強効果を同時に発揮する可能性があると考えられた。
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