研究概要 |
SV40T導入transgenic mouseより樹立した骨髄間質細胞株は、赤芽球コロニー形成支持能を有するものと有しないものに分かれる。そこで、DNA microarray法を利用して、赤芽球コロニー形成支持能を規定する細胞表面分子の同定を計画した。前年度、DNA microarray法を用いて、赤芽球コロニー形成を支持する3種の細胞株(TBR17,33,511;E+群)と支持しない3種の細胞株(TBR9,184,31-2;E-群)の発現遺伝子の差を調べた。そのうちE+群からtenascin C(E+が3.8倍)、E-群からdelta-like 1(E+が0,05倍)を選び出し、RNAi法により機能解析を行った。TBR17において、delta-like 1の発現はコントロールの2,626(copies/GAPDH copies以下同様)に比べて646と75.4%の発現抑制を示し、TBR9においてtenascin Cの発現はコントロールの102,669に比べて9,900と90.4%の発現抑制を示した。この抑制は、immunoblotting法でも確認された。これらのsiRNAを細胞株に導入して胎児マウス肝細胞を用いて赤芽球コロニーアッセイを行ったところ、tenascin-CのsiRNAはTBR9で95%のコロニー減少を誘導したが、delta-like 1のsiRNA導入では、TBR17で、コロニー形成能に変化を認めなかった。以上より、マウス骨髄間質細胞においてtenascin-Cの発現が赤芽球造血に関与していることが示唆された。
|