研究概要 |
われわれは成人を対象とした臍帯血移植がほとんど2座不一致なのにもかかわらずきわめて良好な生着率を示し、従来の非血縁者間で見られた重篤なGVHDも少ないことに注目し、この原因を免疫細胞のゲノム解析により解明しようと努めた。つまり、GVHDの極期と、回復期の血液サンプルあるいは再発例と寛解持続例の移植後ほぼ同時期のサンプルから、CD4,CD8,CD56,CD14の表面マーカー陽性細胞を集め、発現解析をおこなっている。対象とした遺伝子は転写因子、接着因子、サイトカイン、サイトカインレセプター、アポトーシス関連分子などを中心に595である。現在までのところ臍帯血移植の好成績を分子レベルで説明できる結果にはいたっていない。 GVHDはドナーあるいはレシピアントのサイトカイン・サイトカインレセプターの多型がその重症度を左右することが報告されている。我々は既知のサイトカイン・サイトカインレセプターの多型を検討するとともに新規の多型も検索した。その結果IL-2R_αに2塩基の欠失・挿入の多型を見つけた(-1022_-1021delTG)(dbSNPss#28448139)。 GVLに関しては動物実験からも、腫瘍の発現するリガンドとこれに対するレセプターの関係が重要となることが示されている。GVLについては、獲得免疫系のほかに、NK細胞が関与する腫瘍免疫も考えられている。われわれはMICBがNK細胞のリガンドになることに注目し、これがGVLのエフェクターとして、CMLの発症あるいは進展に影響していないかを検討した。すなわち、CML患者のgenotypeを比較することにより、何らかの統計学的所見が得られないかを検討した。その結果MICB0104がCML発症に有意に相関することを見つけた(P=0.012)。
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